ドクターTの今日も快腸

大腸の病気(大腸ガン・ポリープ、過敏性大腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病など)が増加しています。ひとりでも多くの方が快腸になっていただくための最新情報を提供してゆきます。

コメントから
1)免疫調整剤といったほうが適切かわかりませんが、そんなもろばの剣のような危険までおかしてまで使用する意味はあるのでしょうか?
2)腸の中だけの免疫力を抑えるならまだわかりますが体全身の免疫を抑えるのは、紫外線や細菌ウィルス、また解明されていないウィルスなどの外敵に危険をさらしているようで問題があるように思います
3)感染症にかかったクローン病の患者さんに対して、そのとき消化器内科の専門医はどんな治療を行うのでしょうか?

答え
1)これまでのクローン病治療で炎症を抑えるのにステロイドが使用されていました。ステロイドには短期的に炎症を抑える効果はありますが、長期的に病気の進行を防いだり、手術になる確率を減らす効果はありません。長期間でステロイドを使用すると、副作用がでて、骨がもろくなったり、高血圧や糖尿病になりやすくなります。またステロイドは感染になりやすくなります。
 免疫調整剤アザチオプリンはステロイド依存症(ステロイドを減らすと悪化する)の難治の患者さんに用いられます。免疫調整剤アザチオプリンは長期的に病気の進行を防いだり、手術になる確率を減らす効果があります。有効例ではステロイドを中止し、腸管の潰瘍が小さくなります。また免疫調整剤アザチオプリンにはステロイドのように骨がもろくなったり、高血圧や糖尿病の危険性はありません。いろいろな免疫抑制薬の中でアザチオプリンはもっとも弱いものに分類されます。アザチオプリンの服用によってインフルエンザや肺炎になりやすくなるという危険性は統計学的に高まりません。むしろクローン病の悪化で栄養状態が悪化するとインフルエンザなどにかかりやすい傾向があります。

2)腸管の炎症だけ止めればいいかというとそうではありません。
クローン病は全身の炎症細胞が主に腸管に集積し炎症を起しますが、皮膚、関節にも炎症を起します。無論腸管がメインですから、腸管の中だけで有効なステロイド(budesonide)が開発されています。しかしクローン病に用いた結果はあまりはかばかしいものではありませんでした。今後更なる研究開発が行われると考えられます。
3)クローン病は腸管の感染と炎症が同時に起きる病気です。しばしば痔瘻、膿瘍、瘻孔に対して抗生物質を用います。手術では感染にかかりやすくなりますので、アザチオプリンによる易感染性(感染症のかかりやすさ)が懸念されます。実際には、ほとんど手術直前に中止していますが、アザチオプリンによる免疫抑制効果は弱いので手術後の感染が増加したような報告は無いようです。
 クローン病患者さんが一般の感染症(肺炎、胆のう炎、膀胱炎、ヘルペス、インフルエンザなど)にかかったときの対応は、クローン病でない一般の患者さんと変わりなく治療して、同じように治っています。

 薬にはすべて利点欠点があり、歴史的に多くの患者さんや医師の取り組みの中で上手な使い方が工夫されてきました。たとえば、脳梗塞を予防するアスピリンには消化管に潰瘍を起す危険があります。現在では潰瘍を起さないように少量で、使用されて危険性が減っていますが、セロにはなりません。
薬の利点欠点をうまく組み合わせて使用するのが医師の務めです。

 炎症性腸疾患とワクチン
 クローン病や潰瘍性大腸炎の患者さんでは、病気の活動性や免疫抑制剤の影響でB型肝炎、水痘、肺炎球菌、破傷風などの危険性は上昇するようです。以下アメリカのIBD誌2004年9月号に掲載された炎症性腸疾患とワクチンについてのまとめを載せます。
1)長期間(3ヶ月以上)の免疫抑制治療を受けている患者さんは、インフルエンザや肺炎球菌のワクチンを受けるべきである。
2)B型肝炎のリスクを有するものはB型肝炎のワクチンを接種すべきである。
3)水痘や破傷風についてもワクチンで予防可能であるので摂取すべきである。


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 Nクリニックで1年半ほど潰瘍性大腸炎に対してATM療法を行ってきました。
H17年3月末で18名の方に実施しました。
はっきり有効性が確認できた方が10人に達しています。
1人だけが下痢がひどく続けて2週間内服することが出来ませんでした。

今後は大腸切除後のパウチの炎症が長引いて困っている方にも行うつもりです。

ATM治療法はFUSOBACTERIUM菌を除去します。


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MLN02はヒト由来のたんぱく質でつくられた接着分子インテグリンに対する抗体薬です。
 2000年から3年間に渡り、欧米の20の大学病院で181人の活動期の潰瘍性大腸炎の患者さんに二重盲検試験(=医師も患者もどれが偽薬か本当の薬かわからない治験)が行われました。
 MLN02は0.5mg/kg体重か2.0mg/kg体重が、0、4週間に投与され、投与開始6週目に評価されました。

 投与開始6週目の評価では
1)寛解導入率:寛解した患者さんの割合
 MLN02 投与群では、0.5mg/体重kgで33%、2.0mg/体重kg投与で32%であり、偽薬投与群で14%に対して有効でした。
2)MLN02に対する抗体:MLN02を投与されたうち44%の患者さんの体の中に44%にMLN02に対する抗体ができてしまった。

 この結果は一流医学誌The New England Journal of Medicineの2005年6月に掲載されました。
DrTORAの講評
 本邦の潰瘍性大腸炎に無いする白血球除去療法(GCAP、LCAPなど)の寛解導入率が50−60%に比べると低い値でした。また抗体薬そのものに対する抗体が作られる確率は、ほかの抗体薬では高々10-20%ですが、MLN02では44%にのぼります。抗体薬そのものに対する抗体は、2度目3度目にこの薬を投与するときに効果が出なかったり、アレルギー反応がおきやすかったりしますので、薬としては致命的です
インテグリンにはα鎖とβ鎖の組み合わせで、いろいろなものがあります。
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潰瘍性大腸炎に対するalpha4インテグリン阻害薬について 
平成19年1月20日の記事でクローン病に対するalpha4インテグリン阻害薬の効果を述べましたが、今回は潰瘍性大腸炎に対する治験の話です。
 免疫学の発達により、炎症部位に次々と白血球やリンパ球が呼び寄せられるには接着分子という蛋白が重要であることがわかりました。接着分子の中でもインテグリン蛋白のグループが炎症部位への接着・侵入に重要であること、中でもα4インテグリンは炎症部位に白血球やリンパ球細胞の集まるための鍵となります。
 α4インテグリンには2種類あり、α4β1、α4β7インテグリンの二つです。α4β7インテグリンは、腸管へリンパ球が集まってくる際に、鍵となる接着分子であり、その阻害薬MLN02が開発され治験が行われました。以前紹介したNatalizumabがα4インテグリン(つまりα4β1、α4β7両方)をブロックするのに対して、MLN02はα4β7だけをブロックするように設計されています。

 
 
インテグリン構造です。α鎖とβ鎖からなります。

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質問から 
 20歳代の男性で、全大腸型です。2年前から症状があり、1年前に診断されました、軽症で、炎症反応は陰性です、やや強めの腹痛と時々頭痛と倦怠感があり、突発的に熱が上がることもあります。1ヶ月ほど前からサラゾピリンに加えリンデロン坐剤1mg/日を使用開始してからは倦怠感も軽くなり発熱も見られません。リンデロンは近く減量予定です。

1)血液検査が正常でも病変部位にて腹痛があるものなのでしょうか
2)倦怠感や発熱などの症状はUCからくるものなのか、サラゾピリンの副作用からくるものなのでしょうか?
3)ストレスに弱い性格なので精神科や心療内科も併診してみようかとは思うのですが、併診の有用性があれば教えてください。

答え
1)潰瘍性大腸炎で炎症が軽度の場合は、血液検査で異常値を示すことは少ないようです。しいて言うと赤沈が軽度上昇します。
2)潰瘍性大腸炎の全大腸型で軽症の場合は、炎症は直腸と盲腸に限られますので、その部分の症状が腹痛や違和感、ガスの張りなどがあります。同時に倦怠感や発熱などの症状はUCから来るものと考えられます。徐々にリンデロンを減らせばいいでしょう。
3)潰瘍性大腸炎の患者さんでは、UCと診断される前から元来胃腸の弱い方が多いです。つまり過敏性大腸炎の一部から潰瘍性大腸炎が発病することが多いように思えます。過敏性大腸症候群は、一般人口の3%−10%以上がかかる病態です。逆に言うと、人体に何らかのストレスがかかるときに何かの症状が出ます:頭痛、耳鳴り、動機、めまい、高血圧、息切れ、痺れ、腹痛などなどです。その中で腸の症状に出てくる方が過敏性大腸症候群と捉えることができます。

 心療内科の先生方は、一般にはうつ病や引きこもり、パニック障害、統合失調症が専門です。過敏性大腸症候群だけならまだしも潰瘍性大腸炎を合併した場合には、必ずしも得意とするわけではありません。
IBD専門の先生が受け持ちなら、心療内科的な治療も併用するでしょうが、消化器専門でIBDがあまり専門でなければ、心療内科の併診も有効です。
以上簡単ですがお大事に。

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質問から
UCですが、やっぱり頭痛が酷くなります。ロキソニン飲むとよくなるのですが、ロキソニンはお腹にはよくないようで、ますますお腹が悪化してしまいます。
何かいい方法はないでしょうか。

答え
1)頭痛は、おもに筋肉緊張性頭痛と偏頭痛にわかれます。
2)偏頭痛の場合、治療が進歩していますので、血管収縮剤と5HT阻害剤でコントロールがつく場合が多くなりました。現在見ている患者さんにも偏頭痛の方がいますが、良くなっています。
3)筋肉緊張性頭痛のばあい、効果があるのはロキソニンなどですが、ロキソニンを週一回使用する程度ならいいのですが、毎日使用すると潰瘍性大腸炎やクローン病が悪化するようです。
4)ロキソニンなどの痛み止めがクローン病や潰瘍性大腸炎を悪化させるかは、論文上はあまりはっきりしません。悪くするという論文と変わらないという論文と半々であります。厳密にデータを取ると、頭痛の患者さんにもいい時期があるので、差が出るデータになりにくいのでしょう。
5)サテ解決法ですが、筋肉緊張性頭痛のばあい、私は筋トレとストレッチをすすめています。私自身も線の細い体で、夏場は冷房の効き過ぎで肩がこり、当直明けなどは頭痛に悩まされました。筋肉トレとストレッチを行うようになってからはすくなくなりました。
6)生理時期に重なって悪化する方は婦人科の先生にもご相談ください。
簡単ですが、答えになれば幸いです。お大事に。

筋肉緊張性頭痛は、僧帽筋がこりますので、そこのストレッチが重要です。


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質問から
クローンの調子が悪くなり出すと 頭痛が起こるようになるのですが これもクローンが原因でしょうか? 

答え
 確かに頭痛の訴えを言う患者さんは少なくないですね。
特に、脳の異常などは無いのですが、女性の患者さんで生理前や生理中に、クローン病の悪化、生理痛、頭痛が一緒に来る患者さんを診ているとつらいです。線の細い方が多く、筋緊張性頭痛が主ですが、病気に対する不安でさらに頭痛が悪化するのでしょう。

 
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質問
 自分はクローン病なのかと悩んでいます。
腹部超音波である程度小腸の様子を見ることができると聞きましたが、あらかじめ下剤とか前処置や食事でなんらかの制限があるのでしょうか。

答え
 腸管の超音波は、僕自身東京大学消化器内科で肝臓の小さい腫瘍(1cm大)をきちんと出すトレーニングを積んでおり、その応用です。高野病院時代に、同じ患者さんについての大腸内視鏡や小腸造影の写真を元に腹部超音波を繰り返して研鑽し、社会保険中央病院でも500人以上の患者さんで行いました。
 利点は
1)被爆や下剤の前処置が無く、繰り返しできること。
2)単におなかを触る触診に比べて、腸管の走り方、厚みが把握でき、腹水、瘻孔、膿瘍などがわかることです。
 欠点は、
1)大腸内視鏡や小腸造影のようにきれいな写真でないこと、
2)腹部CTのように誰がやっても同じ写真が取れる訳ではないこと。
 そんなわけであまり一般的でないのですが、イタリアの先生方や広島大学の畠先生らのグループがまとめて論文を書いています。
 僕自身はすぐエコーを見ることができるので、便利です。初診の方は大体めどが立ちます。よろしくどうぞお大事に。
質問
UCで手術後に壊疸性膿皮症で、傷口が膿んでくっつかないそうです。時間はかかるけど、皮膚の再生はありますか?
答え
 壊疸性膿皮症や関節炎などは、一般的には、潰瘍性大腸炎の活動期と同時に悪化し、治療で軽快したときや大腸を摘出した手術後には軽快します。
 ときに潰瘍性大腸炎の状態がひどいと、大腸を摘出した手術後にも、壊疸性膿皮症や関節炎が残ったり、出現したりします。これは大腸に炎症を起していた白血球やリンパ球細胞が皮膚や関節に(標的とする大腸が無いので八つ当たり的に)炎症を起していると考えられます。
 感染を起していないか確認して、少量から中等量のステロイドを使用すると治ることが多いです。
 お大事に。


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質問から
妊娠中に大腸ポリープになった場合赤ちゃんに影響はありますか?

答え
1)1.5cm以下のポリープの場合:まず問題ありません。出産後に内視鏡下に切除すれば問題ないでしょう。
2)それ以上のおおきさの場合:若い方でこのように大きいポリープはまれです。ポリープの形が変わっていて一部分のがん化が予想される場合は根元が茎状のものはスネアというひもで締めてしまえばいいかもしれませんが、いずれにせよ、産科と外科の協調体制の取れる病院で治療を相談すればいいでしょう。
質問から
 大腸内視鏡で粘膜表面の浮腫をみることはよくありますか?
IBDの所見の可能性はどのくらいあるのでしょうか?
 私の担当医は,その所見を正常範囲というのですが,生検なしでそのようなことはいえるようなものなのでしょうか。

答え
 クローン病や潰瘍性大腸炎の患者さんの内視鏡で、注意するのは、
1)潰瘍の状態(深さ、形、つながり)
2)潰瘍の分布(直腸から上行結腸、回腸末までのどの部分にあるか)
3)潰瘍のない部分の変化
です。
1)2)は当然ですが、海洋のない部分では、粘膜の浮腫を認めることがあり、これも病気の勢いを判断する指標になります。
 粘膜の浮腫とは、粘膜の軽い赤さや正常なら見える細かい血管が見えなくなる状態のことを言います。

 浮腫の部分を生検して病理医の診断を求めてますが、顕微鏡で診ても、潰瘍性大腸炎の陰窩膿瘍(いんかのうよう)やクローン病の(肉芽腫)はなく、非特異的炎症という診断がほとんどです。
 したがって、 内視鏡上の、粘膜の浮腫だけでは、病気を決定する所見とならないわけです。あらかじめクローン病や潰瘍性大腸炎がある場合には、病気の勢いを判断する材料になります。

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 質問から
 炎症性腸疾患のクローン病の腹痛について自分自身で判断できることがあれば教えてください 時々、おへそ付近で鈍い痛みに似たとなにものにも表現できない違和感があります。クローン病で下痢以外ではどんな時に痛みはありますか?
 答え
クローン病では、
1)腸管の運動が多くなる
2)腸管の病変部が潰瘍で狭く、硬くなる
このため
1)下痢がおおい
2)病変部を食物が通過するときに痛みがでる
ことが症状です。

おへそ付近で鈍い痛みに似たとなにものにも表現できない違和感...はおそらく小腸の病変部分を食物が通過するときの痛みでしょう。
山椒や芍薬を含んだ漢方がききます。お大事に。

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