ドクターTの今日も快腸

大腸の病気(大腸ガン・ポリープ、過敏性大腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病など)が増加しています。ひとりでも多くの方が快腸になっていただくための最新情報を提供してゆきます。

『よう久しぶり、どう上手くなったかい』
 U先生の大腸内視鏡を見学して肩を落として帰る僕に『先生、みんな自分のやり方が有るから焦らないで頑張れ』といって下さった。そのころ、大腸内視鏡は硬いファイバーを、芸術的に挿入する名人芸の時代であり、大腸内視鏡のパイオニアSH先生から腸管軸短縮法のKS先生、自然流のOH先生が有名な名人であり、U先生のその一人であった。
 その後数年間、僕は免疫学や遺伝子の研究を東京大学消化器内科で行い、大腸内視鏡とは離れていたが、9年前から大腸肛門病院に研修させていただき、大腸内視鏡を行うようになった。現在の電子内視鏡で画面を見ながら挿入するようになり、内視鏡そのものの操作性も向上しており、天才的名人芸の時代ではないが、幼稚な挿入技術によってはややもすれば苦しい検査になる。僕も十分な経験を積んでおおきなトラブルなく、毎日少しでも苦しくないようにと考えて行っている。
 昨年、U先生に10年ぶりにある会でお会いしたとき、U先生は『久しぶり、どう大腸内視鏡は上手くなったかい』と訊いてきた。僕は笑って『はい、自分なりの方法でなんとか上手くやっています』と答えた。
CF機械

『ハイ到着!:3分27秒!』
 消化器内科医師として研修をはじめたSR病院では、T先生は胃カメラとERCP(胆管すい臓への内視鏡)は、名人であったが、大腸内視鏡はそれほど上手ではなかった。
 T先生は僕に『これからは大腸内視鏡が大事ですから、消化器の勉強会でいろいろな先生に紹介するから、見学したかったらいつでも行って下さい』と言って下さった。
 そのなかで一番大腸内視鏡がはやい先生が、H胃腸病院のU先生だった。ある会合で『U先生は平均どれくらいで挿入されますか』との僕の質問に『まず5分以内ダヨ!』との答えに僕は眼を丸くした。
 早速池袋の病院で見学させていただいた。U先生は挿入開始時にストップウオッチを押して、盲腸までの時間を測らせた。大腸ファイバーの時代なので、U先生はファイバの接眼部をのぞきながら、内視鏡を握る右腕と内視鏡の先端の角度を調整する左手をすばやく複雑に動かした。盲腸に到着するとストップウオッチをおして『ハイ到着!:3分27秒!』。その日は10人ほどを検査されたが、最長で10分程度であった。U先生のあまりの早さと器用さに僕は大腸内視鏡を挿入するのは天才的な名人だけしかできないのではないかとショックをうけてしまった。
透視化CF