ドクターTの今日も快腸

大腸の病気(大腸ガン・ポリープ、過敏性大腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病など)が増加しています。ひとりでも多くの方が快腸になっていただくための最新情報を提供してゆきます。

質問から
その一
UCやCDかわからない場合、拡大内視鏡を使い粘膜のびらんなどによって診断をつけることは可能ですか?

答え
UCかCDかは、病変の形や広がり方で判断します。拡大すればわかるわけではないです。
拡大内視鏡はズーム機能つきのカメラと同じですから、癌かどうかは粘膜表面のひだを100倍まで拡大して、そのパターンで判断します。
 潰瘍性大腸炎では潰瘍ができては治るので、粘膜表面のひだのパターンは正常と潰瘍の治った部分が入り乱れています。したがって拡大しても却ってわかりにくいようです。
 潰瘍性大腸炎の潰瘍部分の端の粘膜を拡大して観察すればより癌がわかりやすくなる可能性はありますが、、、、

その二
UCである場合は、大腸癌のリスクが年々高くなるおそれがあり早期発見が必要と思います。そこでNBI(Narrow Band Image)により早期癌の新生血管を検出できますか?
 NBIによる血管模様の観察で、潰瘍性大腸炎の癌をより早く見つけられるかどうかは研究中です。
 NBIによる血管模様の観察で、通常の癌では新生血管があり、周囲の正常の粘膜で、新生血管がありませんのでその差を利用しています。NBIはオリンパス社のHPに情報があります
 潰瘍性大腸炎では、もともと潰瘍があり、それができたり治ったり=血管模様の変化が激しい状態が基本にあります。
 したがって潰瘍性大腸炎の早期がんをNBIで見つけることは、通常の癌に比べてややむずかしいと思います。研究中ですので、今後に期待しましょう。

いやはや画像診断の進歩や問題点を文章でうまく説明するのは実に難しいですね。つたない説明お許しください。
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CDで狭くなった部分を広げるバルーン拡張術は、ほかにもいろいろなところを広げることができます。胆汁の流れる胆管や血液の流れる血管です。
 現在最も多く行われているのは、心臓の筋肉を養う血管です。
 心臓の筋肉を養う血管が狭くなると狭心症や心筋梗塞になります。
 心臓の筋肉を養う血管をバルーンで拡張する治療は30年前から行われていて、同じようにバルーンの圧力を測定し、患者さんの痛みを診ながらやるのです。
 現在までの反省点は、いかに狭いところを広げても、基礎となる高血圧や糖尿病をきちんと治療しないと、また別のところが狭くなるイタチゴッコであるということです。
 したがって現在では、心筋梗塞や狭心症の患者さんではバルーン拡張後に糖尿病、血圧、コレステロールなどの厳密なコントロールがなされるようになりました。
 クローン病でも同様で、せっかくバルーンで広げても、腸管自体の炎症をしっかりコントロールしないとまたすぐに狭くなる可能性があります。

 現在はペンタサ、エレンタール、アザチオプリン・6MP、レミケードとクローン病の炎症をコントロールする手段があり、さらに続々開発中です。ご期待ください。
以上参考になれば幸いです。
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質問から
小腸・大腸型クローンです。
1)受診している病院には、小腸ダブルバルーンがないのですが、小腸造影だけでも、問題ありませんか?
2)過去数度の手術経験があり、もう手術は繰り返したくないのですが、転院を考えた方がいいのでしょうか?

答え
 クローン病の治療には小腸の情報がどうしても必要です。
 小腸の情報を得る手段として20年来小腸造影が中心でしたが、ここ数年のうちに小腸の検査が進みました。新しい診断技術は、小腸ダブルバルーン内視鏡とカプセル内視鏡とMRIによる小腸診断です。
 小腸造影が鼻から管を入れたりで苦しい、被爆したりと患者さんの負担が強いのに比べて
新しい診断は被爆がない、苦しくないなどの利点があります。
クローン病について申しますと
1)カプセル内視鏡はクローン病の狭くなった部分に滞ってしまい手術して取らなくなる危険性が高です。したがってクローン病疑いの患者さんに検査するのはいいでしょうが、すでにクローン病になった患者さんにカプセル内視鏡を行うことは危険ですのでまったく勧められません。
2)小腸ダブルバルーン内視鏡は、クローン病の狭くなった部分を広げたり、きれいな写真が取れるので今後が期待できますが、手術をした患者さんでは小腸が癒着して短縮できず、内視鏡を入れること自体がむずかしい欠点があります。まだ発展途上の技術といえます。
3)MRI小腸造影は台の上に寝て写真を撮るのですが、おなかを開けた状態のような写真を撮れます。優れた小腸造影に比べると病変を細かく明らかにする点ではまだまだ及びませんが、大まかな情報を得るには有効で、被爆がなく、繰り返し検査できることから、今後期待ができます。

 以上から、新しい診断技術に比べて小腸造影(優れた術者による小腸二重造影)はまだ優位ですので、あわてて転院するほどではないでしょう。
以上参考になれば幸いです。
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質問から
内視鏡の疑問
検査前に緑内障や目の病気について聞かれるのですが、何か問題あるのでしょうか?
先日眼科にいったら視神経が相当痛んでいるといわれ精神的に落胆しています。
家系的にもとより目が弱いのですがこれは内視鏡を受けるにあたり何か注意が必要だったのでしょうか?

答え
内視鏡のときに腸管の動きを止めるブスコパンを注射します。
ブスコパンは緑内障のヒトには厳禁です。
緑内障の場合はブスコパンの代わりにグルカゴンという薬を用います。
それ以外に内視鏡検査を受けて視力に関係するものはありません。
ご心配なく。
以上参考になれば、大事に。

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質問から
 先日テレビで仮想内視鏡の事をやっていましたが、もしこれが数年後に一般的な検査の手法となった場合、潰瘍性大腸炎やクローン病に適用される可能性は有るのでしょうか?
答え
 大腸がんの増加に比べ、経験のある内視鏡医が不足する欧米ではCTを用いた仮想内視鏡が実用化されつつあります。前処置や検出能力は注腸バリウムと同じくらいですが、注腸バリウムが検査する医師や技師の技量に対してCTを用いた仮想内視鏡は一定の結果が得られ、一度に多くの患者さんが検査できます。大腸がんの疑われる患者さんは何十万人もいますのでこの点は重要です。大腸カメラや注腸検査は一日10人やればへとへとですが、CTを用いた仮想内視鏡は20人以上可能です。ただし読影に時間がかかるため今度は読むほうがやや大変です。これはCTやMRIの発達に応じて放射線線科医の仕事が数倍に増えたことと同様です。
 ただ潰瘍性大腸炎では内視鏡による大腸粘膜のきめ細かい観察と組織検査が治療方針の決定に重要ですので、これを置き換えるものではないと考えられます。
 なお個人的には、僕の場合は、腹部超音波でクローン病や潰瘍性大腸炎の病変範囲や構造の把握は福岡の病院時代から内視鏡やバリウム造影や手術所見と超音波を比べてきましたから、約5-10分間で大体把握できますので、被爆のあるCTによる仮想内視鏡は不要です。
今週の診療から
 今週二人の患者さんに大腸内視鏡を行ったが、多摩N部地域病院や東K大病院で死ぬ思いをした人たちである。二人とも、潰瘍性大腸炎でやせていてむずかしい患者さんでしたが、何とか前処置なしで観察した。
昔に比べると、以前はよりうまく入れようとしいたが、今は自然にそっと入れようとしている。ようやく肩の力が抜けてきたのだろう。
 30歳ごろに大腸の道に進もうと考えたが、一方で自分はあまりに短期間に胃カメラが上達したので、馬鹿らしくなり、内視鏡しかできない医師になるまいと願っていた。
 以来順天堂で免疫の研究をしたり、東大で遺伝子治療の実験をしたり、福岡で地方の村に行って内視鏡検診したりと、だいぶ遠回りしたが、結局痛くないように入れる方法は、自然に入れることである。
 また内視鏡とは関係の無い、遺伝子治療や免疫の研究のおかげで、潰瘍性大腸炎やクローン病を診察するようになり、内視鏡所見をうまく治療に結びつける様にしている。炎症性腸疾患の診療は、患者さんの背景を無理なく的確に把握して行わなくてはいけないので、なkなか奥が深い。
カプセル内視鏡が認可され使用できるようになりました
2003年にクローン病の患者さんに協力していただき、
カプセル内視鏡について、小腸造影と比較したデータをまとめましたが、
2006年にようやく論文かできました。
クローン病についてカプセル内視鏡と小腸造影(つらいですね)を比較した論文は過去にほかになく、今年の秋の日本消化器内視鏡学会の賞をいただける事が決まりました。
クローン病の患者さん皆さんのおかげであり、この場を借りて深く感謝申しあげします。
ひどい狭窄は無理ですが、今後次第に臨床に使用できるようになるでしょう。
質問から
1)手術を勧められているクローン病40代の男性です。20代後半にクローン発症、小腸の出口狭窄部を切除(20cm)イムランは吐き気やだるさがひどく仕事できず、途中で中止になりました。
2)1年半くらい前から腹痛で検査、吻合部に3cmくらいの狭窄あり。3回大腸内視鏡によりバルーン拡張術実施、なお、大腸内視鏡が入りにくく患部に到達するまで時間や辛さあり。4回目は狭くてバルーンが入らないと中止。小腸透視では流れてはいるとのこと。

 手術するなら調子が比較的良い今がいいと主治医。そうなのでしょうか?手術のタイミング等教えてください
答え
1)クローン病は5年で30-40%、10年で50-70%手術になります。
2)初回手術後の再手術率も5年で30-40%、10年で50-70%と同様です。
3)発病後20年で1回の手術歴、現在の症状、バルーン拡張困難などの状況から早めの手術を勧めます。長引くと狭窄部から瘻孔や膿瘍になりますので、人工肛門偽ざる得ない可能性がありますが、現在なら狭窄部のみので十分です。
4)手術後の再発予防ですが、上記のデータはペンタサとエレンタール時代のものです。イムランやレミケードを用いれば格段に違うと考えます。
5)イムランがむずかしいのであればロイケリンを使用してはいかがでしょう。レミケードを手術後に早めに小腸をチェックして再発していれば使用することもひとつの解決策です。
以上簡単ですがお大事に。
質問から
1)クローン病・大腸型でS状結腸から盲腸のあたりまで縦走潰瘍が多くあります。レミケードを投与し、病状は改善してきました。
2)炎症が酷い時に大腸内視鏡を受けたとき、叫び続けるぐらい痛く、二度目の検査の時は麻酔?をしてもらいました。麻酔の時は楽でした。
A)定期検査の時も麻酔を使って貰おうと思うのですが、麻酔を毎回使っても身体に影響はありませんか?また、何度も使うと効きが悪くなるという噂を聞いたのですが本当でしょうか?
B)状態が安定していますが、定期検査はするべきですか?するのなら、どのくらいの期間置きにすれば良いのですか

答え
 悪いときの内視鏡が多少痛いですが、先週は私は、90分で5人のクローン病患者さんの大腸内視鏡をやりましたが、皆痛くなかったといってくれました。麻酔も必要ですが、検査する先生の技術も重要です
A)定期検査のときも麻酔を使用してもらってください。麻酔薬は毎日使用しなければ効きにくくなることはありません。
B)症状に変化が無ければ一年一回位が、適当ではないでしょうか

以上簡単ですがお大事に。
最近の大腸内視鏡の上達
 最近、感じることだが、町田に来て外来を少し見ながら内視鏡を行っているので、大腸内視鏡の挿入が早くなった気がします。
 以前 社会保険病院にいた頃は何人かの医師で交代して3-4時間で25-30人くらい行っていました。4つのベッドで行っていたので1ベッド7-8人。患者さんの入れ替わる時間を含めて一人20-30分くらいかかっていました。自分なりに挿入技術はほぼ完成していたと考えていました。
 今は内視鏡の挿入が3-5分以内、観察、組織検査、5-10分、一人平均はじめから終了まで15分です。ポリープ切除の場合、若干時間が延びます。一つ一つの動作で余計な動きがなくなった気がします。
 炎症性腸疾患の患者さんの内視鏡はやはりむずかしいのですが、余計な動きがなくなった分、早く入りますし、楽だったといってくださりうれしいです。
 40過ぎてもうまくなるのはうれしいものです。