ドクターTの今日も快腸

大腸の病気(大腸ガン・ポリープ、過敏性大腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病など)が増加しています。ひとりでも多くの方が快腸になっていただくための最新情報を提供してゆきます。

質問から
1)術後1年以上経つので、CFを実施。
2)回盲部の吻合部に、小さい潰瘍がありました。
3)血液検査でのCRPは正常です。血液検査上では、白血球などイムランが良く効いているデータを示し、腹痛はなく、便も形あるようになっています。(コレバインを飲んでいますが)また、狭窄はありません。食事は普通にしています。
4)現在の服薬は、ペンタサ、イムラン、コレバイン、ビオフェルミン、パリエットです。

さて、レミケード維持療法で行うか迷っています


答え
1)症状、血液データともかなり落ち着いていますので、良かったですね。
2)吻合部に小さな潰瘍はありますが、このままの治療で、様子を見てもいいのではないでしょうか。
3)レミケードは、今後、症状かデータ悪化または1年後の内視鏡時に考えて開始しても遅くないでしょう。おそらくクローン先生(下図)もそういうと思います。20060724220050.jpg
 くれぐれもお大事に。
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質問から
レミケードが打てない患者です
今、かなりネガティブです(今日実施再度アレルギー反応にて中止)
どうしたらいいでしょう
答え
アレルギーのためレミケードが投与できない場合があります。
レミケードの25%がネズミ由来の蛋白であるため、起きてきます。
基本的には
1)ペンタサ・サラゾピリン
2)エレンタール
3)一時的なステロイド
を使用します。
これらは効果が、レミケードの劇的な切れ味とくらべて弱いです。
レミケードはTNFαを阻害しますが、同じような薬が開発されています。
今後、使用できるようになる可能性の高い薬は
1)Adalizmab(商品名Humira:ヒューミラ):100%ヒトの蛋白でつくられたTNFαを中和する抗体です。アメリカでは使用でき、日本でも申請中です。
2)アダカラム:GCAP(顆粒球除去療法)潰瘍性大腸炎でおなじみですが、クローン病で申請中です。
ほかにもいくつかありますのでCCJAPAN誌(三雲社)の私の連載記事「炎症性腸疾患のグローバル講座」で取り上げてゆきます。

 治療の進歩に期待しましょう
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HumiraですHumirapen


質問から
クローン病とアトピーを患っているんですが、
レミケードはアトピーにも効果がありますか??

答え
 簡単そうな質問ですが、内容は高度で医学部の大学院レベルの質問です。
なるべくわかりやすく解説しますが、わからないヒトはwikipediaで勉強してください。
まず炎症の病気はさまざまな面からグループ分けできます
A)炎症の起きる場所によって:
腸管:クローン病、潰瘍性大腸炎、
肺:喘息、間質性肺炎
皮膚:アトピー性皮膚炎
関節:関節リューマチなど、

B)炎症のタイプによって分けることも重要です。
炎症には必ずリンパ球が関係します。リンパ球のなかにTh1型とTh2型があります。
どちらが優勢になるかで炎症を分けることができます。
1)Th1型:クローン病、間質性肺炎、関節リューマチ
2)Th2型:潰瘍性大腸炎、喘息、アトピー性皮膚炎

C)クローン病はTh1という細胞集団が過剰に働いておきていますが、その中でキーになるのがTNFαです。TNFαをとめるのがレミケードです。
アトピー性皮膚炎では、Th2という細胞集団が過剰に働いておきています。相対的にはTh1細胞の勢いがが弱いともいえます。
D)したがってTh1を抑えるレミケードを注射するとアトピーが悪くなる可能性があります。良くなる可能性は少ないと考えられます。

以上参考になれば幸いです、くれぐれもお大事に。
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質問
小腸型(回腸)でレミケードを検討しています。
ccjapanなどの雑誌で見たところレミケードを連続投与した場合、大腸にある潰瘍はほぼ消失に近い状態になるが、小腸の潰瘍はくすぶり続けて消失までは難しいとの記事を見ました。
小腸型は狭窄も考慮するとレミケードは適用外ですか?


答え
レミケードは小腸大腸ともにクローン病の潰瘍を治癒させる強力な作用があります。
小腸型でも、狭窄がひどくなければレミケードです。これは欧米の教科書にも載っています。

以上簡単ですがお大事に。
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質問から
1)CD歴30年以上。出血で入院。輸血し肝炎に感染、20年後に穿孔で切除手術。さらに9年後の昨年に狭窄で切除。いづれも回腸です。
2)レミケをしたいですが、BとC型肝炎です。CはPEGインターフェロンとリバビリンで治療しましたが、なおらず現在強ミノ治療中です。
B型は外国でレミケ投与で肝炎がひどくなったといいますが、日本での症例で、「イヤ何ともなかったよ」とか「やっぱりひどくなったよ」とかがありますでしょうか?

答え
レミケードで肝炎が悪くなった報告は海外からあります。慎重にしなければなりません。
レミケードで免疫状態が変化しますので、このためにウイルス性肝炎が悪化したり、劇症化する可能性があります。
今の肝炎がB型ウイルス、C型ウイルスどちらのよるか、肝炎治療の可能性がどのようなものか、肝臓専門医の意見を聞きましょう。
簡単ですがお大事に。
レミケード投与後の出産に関して
以前ブログで、
”一度注射した薬が未来永劫に卵子に影響を及ぼすことはまずありえないことアメリカのレミケード5000例調査では、開始後2年の時点で100例近くが無事出産しています”と伝えましたが


今回、一施設からのまとまった詳細なデータがでました。
クローン病の治療で有名なメーヨクリニックとUCSFが共同で出しています。
結果
10人の妊娠クローン病女性で、
1)早期出産(妊娠9ヶ月以下)        3人
2)低体重出産(2500g以下)         1人
3)出産後のNICUに入院(新生児重症管理室) 1人:但し1日で退院、
4)出産後もレミケードが投与され授乳     5人
といったところです。

全国調査などの大規模な調査では細かいところがわからない欠点がありますが、
この文献は、細かいレポートでしたが、おおむね問題ないようです。
若いクローン病の患者さんにとって出産は重要な問題です。

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今週のコメントから
1)クローン病で手術なし。狭窄あるが大腸カメラは通ります。腹痛なし,下痢は水様便が6〜7回、たまに下血と肛門部出血。体重増減なし。
2)レミケードをするようになってから狭窄部分の腹鳴りと水様性下痢、たまに下血があります 。夜間、便漏れ?が気になり寝不足が続き困っています。
3)現在:エレンタール4パック,ペンタサ12掟,ロペミン3掟,フェロベリン9掟,
4)レミケード後軟便になるが1ヶ月程度しか持たずプレドニン10mg服用。
このままの治療方法とレミケードを続けて大丈夫なのでしょうか?

答え
1)大腸の病変がひどく、水分吸収がうまくいかないため、便が多いのではないかと察します。
2)主治医に相談して、大腸の病変の状態をもう一度評価してもらってください
3)便の調子を整える食物繊維、整腸剤なども用いたほうが良いかもしれません。
4)プレドニンが必要なようなら免疫調整剤の治療も必要でしょう。
参考になれば幸いです。くれぐれもお大事に


今週の診療から
クローン病の治療の指標がレミケード以前と以後で大きく変わってきました。
1)ペンタサやエレンタールで治療していた時代は
CRP1-2以下、白血球7000以下、貧血Hb10以上、血液中のアルブミン3.2g/dl以上あたりがひとつの目安であり、これらの数値が達成されていて、症状そこそこ安定していれば「よし」というところでした。
2)レミケードが使用できるようになると有効な方では
CRP0.5以下、白血球5000以下、貧血Hb12以上、血液中のアルブミン3.7g/dl以上がうまく達成されます。患者さんは、大変な食事制限も無く、便は一日1−2回、体重は正常範囲に戻り、はたから見るとクローン病とはほとんどわからない状態の方も多くいらっしゃいます。10年以上クローン病を治療 してきたものからすると、まさに隔世の感があります。
3)もちろんレミケードが無効な方や、すでに手術で腸が短くなって大変な方もいらっしゃいますが、、、
本日も3人の患者さんにレミケードの治療をしましたが、皆さん自信を持ってプライベートにも仕事や学校にも楽しく励んでいるようで担当する医師としてうれしい限りです。

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コメントから
1)新しいものがどんどん出来ているのでもうレミケードはそれなりに信頼性に足るものになったのでしょうか?今日病院に行ったらレミケードをやったほうがいいと言われました。
2)副作用もあった記憶があったのである程度考えてからにしたかったのですがツベルクリンの注射を打つよう手配したり、CTを予約したりともうすぐにでもやり始めるような感じでした。
副作用に関しては感染症(結核など)について少し触れただけで自分で勉強しておいてと言われました。
3)ペンタサも現状ごくごくまれにお腹の痛みがある時はありますがほとんどない状態なので
現状維持が一番だと思っていたら、 ペンタサは1日12錠飲むことになりました。


答え
1)現状が症状もデータも落ち着いているのなら必ずしもレミケードは必要ないかもしれません。
2)クローン病の性質からいってしだい悪化したり、知らないうちに進行しますので、狭窄や病状が進まないうちにしっかり治療することは重要です。
3)レミケードでの治療では結核に対する注意が必要ですので、ツベルクリン反応や肺のCT検査が必要な場合があります。
4)小腸大腸全体に行き渡らせる必要があるのでペンタサは十二錠処方する場合が多いです。切れ味の鈍い薬ですが、しっかり飲んでください。
以上簡単ですがお大事に。

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コメントから
 レミケードによる発ガンについてレミケードではあまり問題ないように効いていましたが、、、

答え
 医療は可能性の問題であり、時間とともに明らかになる事実にしたがって治療も変わっていきます。
例1)高血圧をどの程度にコントロールしたらいいか、どのような薬を用いるのがいいかということはこの十年で大きく変わってきました。さまざまに、やや血圧が高くてもかまわないという論文やデータと、より低いほうがいいという論文やデータでとがあり、時代とともに血圧をより低くする流れです。また治療薬も新しい薬がいいというデータと、古い薬でも変わらないというデータが出てきます。さまざまなデータから学会やセミナーでコンセンサスがつくられるわけです。
例2)肝臓がんの治療を手術中心で行くか、内科的に行うかということもこの十年で大きく変わってきました。手術中心から、内科的に腫瘍を焼く技術が発達してそのような治療が多くなっています。これもいろいろな施設から学会や論文の形でさまざまなデータが発表されコンセンサスがつくられるわけです。

 レミケードの単独での発ガンの増加の問題はアメリカのTREATという試験で5000人を5年以上追いかけており短期的には否定されていますが、10年たっていないのでそれ以上わからないわけです。
 また、レミケードとアザチオプリンやロイケリンとの併用には
1)レミケードの効果が増す利益と、
2)レミケードとアザチオプリンやロイケリンとの併用で発ガンの可能性が理論的には増加する可能性がありますが、実際にはそのようなはっきりしたデータが無かったのです。
 ただし、最近はレミケードだけで十分コントロールできる可能性があるので、併用によって悪性腫瘍を増加させる可能性があるアザチオプリンやロイケリンが本当に必要か考える時期に来ているというわけです。
 このように医師は自分の経験だけでなく、最新の情報を参照しながら、理論的な可能性を考えながら、最善の治療を模索しつつ行っているをご理解ください。
以上十分な答えになりませんが、お大事に。
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